耳もとで囁いて口付けを落とし、顔を離す。
見上げるとレンズ越しに目があった。
松岡くんが眼鏡をくいっと上げ、レンズが得意げに光る。

「……いただきます」

スプーンを掴んだ手は、指の先まで真っ赤になっていた。
ぎくしゃくと口に運んだオムライスの味は、全くわからない。

「大根と手羽のおでんを煮込んでいますので、明日、お召し上がりください」

「……うん」

オムライスの味はわからないが、味気ないというよりも幸せの味がする……などと考え、思わずオムライスに顔を突っ込みたくなった。

「そうそう、あの投稿、是非続けてください」

「はいっ!?」

うっ、声が裏返った。

「ああいうのおもしろ……失礼」

ん?
いま、面白いって言おうとした!?