傍に置かれたケチャップを私が掴むより早く、松岡くんがとりあげた。

「そういえばこの間、オムライスにハートを描いてくれなかったと拗ねておいででしたね」

にやり、意地悪く松岡くんの唇が歪む。

「あ、あれは……!」

もしかして、ニャンスタの投稿、全部チェックされた!?

バレた段階でさっさと削除すればよかったのだ。
でも、あれからいろいろあって完全に忘れていた。

ケチャップを奪う間もなく、あっという間に松岡くんがオムライスの上にハートを描いていく。

「これでよろしいですか」

「うっ。
……いい」

仕方ないのでおとなしく、椅子に座り直した。

「……こんな可愛いおねだりされたら、叶えてやりたくなるだろ」