けれど貧相な私のあたまでは、ハンバーグとかカレーとかしか出てこない。

「任せた」

「かしこまりました」

真顔のまま松岡くんが出ていく。
彼の料理はなんだっておいしいから、おまかせが正解だ、きっと。

指を組んでぐーっと背伸びし、凝り固まっている身体をほぐすように左右に揺らす。

「晩ごはんまでもう少し、頑張るかー」

まだまだ小説の中の私はぼんやりとした存在だ。
もっとはっきりと、掴めるようにならないと。


今日の晩ごはんはオムライスだった。

――オムライス。

悪い予感がなんとなくするのは、気のせいでしょうか……?

「いただきます」