そのギャップで腰砕けになりそうになる。

そういうわけで松岡くんから私へ、唇へのキスはない。



「……夏。
紅夏!」

「え?」

呼ばれてのろのろと顔を上げると、松岡くんははぁっと本日何度目かのため息をついた。

「なにをやっているのですか」

「なにってセバスチャンに……あ」

おやつのパッケージはすでに空になり、セバスチャンは少し離れたところで毛繕いをしていた。

「あー、うん。
ごめん。
手、洗ってくるね」

「ではお茶を淹れ直しておきます」

台所へ向かう松岡くんを尻目に、洗面所へ行って手を洗う。