「お茶の準備が整うまで、セバスチャンにおやつを差し上げていてくださいますか」

差し出されたおやつのパッケージを受け取ろうとした、が。

「あっ」

手が触れただけで掴み損ねて落としてしまう。

「なにをやっているのですか」

あきれたように小さくため息をつき、松岡くんが拾うのをただ黙って見ていた。
セバスチャンはさっきから大好物のおやつの登場で、にゃーにゃーとうるさい。

松岡くんから手を取られ……つい引っ込めていた。

「どうかしたのですか?」

松岡くんは怪訝そうというよりも、理由がわかっていてからかうように口もとが笑っている。

「はい、今度は落とさないでくださいね」

逃げられないように強く手が握られ、その上におやつがのせられた。