「快適な環境を整えて、快適に小説を書いていただくのも私の仕事です。
だ、か、ら」

わざわざ、一音ずつ区切って強調してこられても。

「ハウスキーパー、頼みましょう?
それでいままでよりさらにいい作品を、たくさん生み出しましょう!」

「……結局、こき使う気ですか」

「あたりまえです」

悪びれることなく桃谷さんがにっこりと笑い、苦笑いしかできなかった……。


「あ、忘れていました」

打ち合わせも終わり帰り支度をはじめようとしたら、桃谷さんに止められた。

「最近ですね、作家に対する嫌がらせが続いてるみたいなんですよ」

「嫌がらせ、って?」