「はぁっ!?」

松岡くんの目が、そんなに開いたら目玉が落ちちゃわないか心配になるほど見開かれた。

「ちょっと待て。
お前、TL小説家なんだよな?」

「……年上でお客をお前呼ばわり……」

執事モードオフどころか、松岡くんは完璧に素になっていた。

「エロシーンのあるTLを、処女が書いてんの?」

「……うっ」

そこは若干、コンプレックスだから触れてほしくない。

「どうやって書いてんの?
シたことないのに」

だから。
興味本位に聞いてくるなって。

「……資料と想像」

そろそろと壁伝いに立ち上がる。
松岡くんは面白がっていて全くもって面白くない。