「『どれだけ私があなたを愛しているか、身をもってわからせる必要がありそうですね』」

こわごわ声をかけたものの、松岡くんは朗読をやめる気配がない。
しかもその状況そっくりに私を壁際に追い詰め、感情を込めて読まれると、自分がシャルロットになった気分になってくる。

「マーヴィンの手が、するりとシャルロットの頬を撫でる。

『愛していますよ、シャルロット』

耳もとでマーヴィンに囁かれ、ぞわぞわと背筋が波立った」

「ま、松岡……くん?」

躊躇いがちに再び声をかけてみたけど、松岡くんは返事をしないどころかさらに続ける。

「涙が浮きはじめた目でおそるおそる見上げると、艶を帯びた瞳が眼鏡の奥からシャルロットを見ていた。

『私の想い、身を持って感じてください……』

マーヴィンの手がシャルロットのあごを持ち上げる。
次の瞬間、彼の唇が自分の唇に重なっていた」

「お願い、もうやめて……!」