「ありがとう、凄くわかりやすくなった」

これで資料を探して無駄な時間を費やさなくてよさそうだ。
それだけで、もっと早くお願いしとけばよかったと後悔した。

「それでは私は他の仕事にかからせていただきます。
なにかありましたらお声がけを」

「うん、本当にありがとうね」

松岡くんが下がり、私も椅子に座る。
綺麗になった仕事場は気持ちがいい。
仕事もはかどりそうだ。

これで取材の準備は万端……のはずだけど。
なにか忘れている気がするのはなんでだろう?



取材当日は松岡くんがいる日になった。

……うん、普通の家政婦さんがいるならいいけど、執事コスの家政夫だなんてどんな噂をされるのかわからない。
だから取材の日を松岡くんが来る月曜金曜を避けようとしたんだけど、都合がつかなくて。

反対に松岡くんを別の日に……とか思ったけど、彼は人気らしくて振り替えがきかない。