「だから、エロ小説言うな!
確かにエッチシーンは多いけど、私たちは女性の夢や憧れを形にしてるの!
ただのエロ小説と一緒にしないで!」

一気に捲したてたせいで、はーはーと息が切れる。
ぎろんと睨みつけると、松岡くんは小さく丸めた背中をびくんと揺らした。

「……すみません、でした」

「わかればよろしい」

謝られて少しだけ気がすんだ。

「まあね、松岡くんみたいな人が多いのも事実だし。
父もエロ小説って莫迦にしてるし。
でもね、私はこの仕事、誇りにしてるから」

「……はい、すみませんでした」

いつも俺様なくせに、こうやって素直に謝ってくるところは、ちょっと可愛い。

「そういうわけで隠しておきたくて、いままで仕事部屋は立ち入り禁止にしてたんだけど。
今度、取材が入ることになってどうしても掃除しなきゃいけなくなったの。
だから、お願いできるかな?」