……これは夢?
私は夢を見ているの?

アメリーンはいまだに、自分自身が聞いた言葉が信じられずにいた。

「アメリーン?
返事は?」

「えっ、あっ、はい!」

黙っているアメリーンにエリオットは不思議そうだが、現実感がまるでない。

――まさか、しがない下級貴族の娘である自分が、次期王であるエリオットに求婚されるなど。

「その。
……誰かとお間違えでは?」

曖昧に笑ってその場をごまかそうと試みる。
が、エリオットはその口から深いため息を落とし、立ち上がった。

「どれだけ僕が、君に愛を囁いてきたと思っている?」

ずっと自分の黒髪と黒い瞳が珍しいから、ペット代わりに傍に置いているのだと思っていた。