「よーしお前たち!
今から僕の話をよく聞いてくれぴょん!」

うさぎさんが手を挙げて
子犬たちに叫びました。

わんわんきゃんきゃんうるさかった
子犬たちが

一斉に黙って
うさぎさんを見つめます。

女の子も子犬を抱いたまま
じっとうさぎさんを見つめます。

みんなが静まったのを見たうさぎさんは
ゆっくりと話し始めました。

「僕とこの子は自動車で
この川を渡りたいんだぴょん。

でもみんな知っている通り
この大きな川には橋が架かっていないぴょん。

だからみんなの力を借りたいんだ。

お願いだ
僕たちに居力してぴょん!」

うさぎさんの言葉を聞いた子犬たちは
一斉に小石を口にくわえて

川のほうに歩き始めました。

川岸についた子犬たちは
加えた石をポトリポトリと

川に落としていきます。

子犬たちが落した石が積み重なり
みるみる川の中に小さな陸地ができていきます。

犬たちはそれからも小石を
せっせと川の中に落としていきました。


子犬たちはうさぎさんの頼みを聞いて
自動車が渡れるぐらいの大きな陸地を


作ろうとしているようでした。


小さな小石を口にくわえて
犬たちは河に落としていきます。

単純ですが過酷な作業。

何度も石をくわえるので
口から血がにじんでいる子もいます。

女の子は見ていられなくなって
犬たちと一緒に

石を運び始めました。