「わあかわいい!」
女の子が叫びます。

女の子が叫ぶのもわかります。

だってうさぎさんが大きな声で呼ぶと
どこからともなく

子犬たちが沢山集まってきたからなんです。

黒白茶色。いろんな毛色の子犬たち。

ポメラニアンに柴犬
ハスキーやダルメシアンとかの
大きな仔もいます。

数も4匹や5匹じゃありません。

それこそ数百匹の子犬たちが
うさぎさんの呼びかけに答えて

河原を埋め尽くしました。

子犬たちはみんな女の子に
尻尾を振っています。

女の子は笑顔になって
子犬を撫でたり抱っこしたりしています。

子犬たちもみんな女の子にまとわりついて
離れません。

でも不思議に思った女の子は
うさぎさんに訪ねます。

「こんなにたくさんの子犬は
どこから来たの?

いったい誰が飼っているの?」


うさぎさんは首を振ります。

「この子たちに飼い主はいないんだぴょん。

この河原に住み着いて
ずっと遊んで暮らしているんだぴょん」

うさぎさんは小石を一つ
拾い上げます。

「この河原で小石を使って
遊ぶのかこの子たちの仕事みたいなもんなんだ。

ずっとずっとこの子たちは
この河原で遊んでいるんだぴょん」

うさぎさんの話を聞いても
女の子の不思議な気持ちは晴れません。

それどころかどんどん疑問がわいてきます。

飼い主もいないこの子犬たちは
河原で小石で遊ぶのが仕事だとうさぎさんは言います。

いったいそんな仕事って
あるんでしょうか?

女の子は全くわからない気持ちに
なっていました。