「え?スマホ?」

ちょっと驚いた顔の女の子。

「もしかして僕がスマホ持っていたら
変だとか思ってない?」

にやりと笑ううさぎさん。

「まるで童話に出てくるような僕だけど
スマホぐらいは持ってるんだぴょん。

君の目の前のダッシュボードに
入ってるんだぴょん。

すまないけどとってくれないか?」


女の子は言われるがまま
自分の座っている席の前にある

取っ手を引いて
中からスマホを取りだしました。

「ありがとう」

にっこりと笑ったうさぎさんは
スマホで地図を見ているようです。

「やっぱりここを渡れば
近道なのか...時間もないし仕方がないぴょん」


そうつぶやいたうさぎさんは
車を方向転換しました。

車は道から外れ
草が生い茂る中を突っ切っていきます。

道じゃないところをつっぱしる車。

当然地面はでこぼこで
車はぴょんぴょんと跳ね上がります。

小石や泥を巻き上げ
車は走っていきます。

「少し揺れるけど我慢してね。
時間がないから近道するぴょん」

女の子とうさぎさんを乗せた
車は道なき道を走っていきます。

草原を抜け
森の中に入った車。

そしてとうとう女の子を乗せた車は
森を抜けました。


「わあ...大きい」

森を抜けた開けた大地に横たわる大きな川。

それを見て女の子は
思わず声を上げてしまいました。