「即答! な、何故だ!」

「何故って……ちゃんとした理由を聞いていないからだ」

「あ……そっか」
 
俺は少し間を置いてから話し始めた。

「実は――」
 
俺はこれまでの事を手短に説明した。

「なるほど。そのソフィアって子がヴェルト・マギーアを完成させる鍵で、ヴェルト・マギーアを発動させない為にも彼女を助けに行きたいと」
 
俺の言葉をムニンは頷きながら聞いていた。

「サルワたちは忘却の山にいるんだ。だから――」

「僕の力が必要なんだろ?」
 
ムニンの言葉に頷いた俺は、両手と両膝を付いて深く頭を下げた。

「お願いだムニン! 一刻を争うんだ! 俺たちに……力を貸してくれ!」

「……」
 
ムニンは黙ったまま俺をじっと見てきた。
 
今の俺に出来ることは頭を上げることだけだ。これでムニンに断られたら俺はどうすればいい……。

「探偵として有名なアレスにここまでさせたんだから、もちろん力貸してくれるわよね?」

「……分かったよ」

「ほ、本当か!」
 
ムニンは面倒くさそうな表情を浮かべると言う。

「ただし仮契約な」

「仮契約?」
 
何で仮契約なんだ?

「この先ずっと力を貸すわけじゃないんだ。それだったら仮契約で充分。それにお前みたいな【混じった奴】と契約することを、僕は簡単に判断したくない」

「混じった奴って?」
 
どういう意味だ?

「良いじゃない仮契約でも。ムニンが本契約をするかどうかは、今後の行動次第で決まるんだから」

「あ、ああ」
 
さっきのムニンの言葉が少し気になる。でも今はソフィアを助けることが最優先だ。

その言葉の意味は後で直接聞けばいい。