善狐と悪狐の間に因縁のような物は無い。しかしそれとは別に、差別は存在する。
善狐と善狐の間の生まれた白狐。野狐と野狐の間に生まれた黒狐の狐。
生まれで人が人を判断するように狐も狐を判断する。今は少なくてもやはりそういう意識も存在している。
それにより、狐同士の会議が開かれた。”善悪両会議”により先代空狐からの問題の解決策としてある指令が発表された、それにより状況は大きく変わった。
「これから善悪の差別を無くす為、試練を白狐と黒狐に発表する。この試練を達成する者は、野狐だろうが関係なく善狐の仲間入りを許可し妖力を高め地位を上げる為の資格を取得出来る事とする。」

これが、善狐の血筋である白狐と野狐の血筋の”ある”黒狐”が人々を幸福にする”試練の始まり”になるのだった。
それから100年もの歳月が流れたーー
私達妖狐は、昔から人の世と妖の世を渡り歩く事ができる様になった。
妖の世では、本来の姿。人の世では、人の姿へ。勿論、その時々により姿を変える。どっちの世界でも暮らす事ができるようにと先代から受け継いだ妖力を用いて。
それが私達”妖狐”である。しかし
”妖は自らの【本来の姿】を人間に見られてはいけない。”
これはいつの時代も変わらない鉄則。だからこそ仮の姿であれば人と接触する事ができる。
そうして私達は、仮の姿で仮の住まいを得た。本来住所を持たない私達狐は、天狐と呼ばれる狐と空狐と呼ばれる狐により神に等しい力で人間をちょいと”化かして”見事ある店を手に入れた。合法的では無いけれど…
それもとある目的を達成する為ゆえ仕方のない事である…と