「お前の思うようにはさせない」

 叫びながら仁がジークの背中に、手術用のメスを刺して攻撃する。

 ジークの背中に激痛が走ると同時に、ジークは仁を殺意をこめた目で睨みつける。

「何をする。殺してやる」

 我を忘れて怒気を発したジーク。

 仁は恐怖で身がすくむ。だが、ユキの苦しむ姿を見ると、必死で歯をくしばった。

 その時、ジークは手のひらを仁に向ける。

「仁、危ない、逃げろ」

 キースが叫んだ。

 ジークの光線が仁めがけて走ってくる。

 機敏な動きで一度目は避けられたが、もうすでに力を使い切ったように仁は肩で息をしていた。

 二度目襲われれば避けられるかわからない。

 ジークはまだ構えている。

 仁は手術台にあった金属のトレイを咄嗟に手にして、

 自分の前に突き出した。

 そしてそれにジークの光線が当たって跳ね返ったとき、偶然、トイラのケージに当たりダメージを与えた。

 そのお陰でドアが開けられた。

「やっと出られたぜ。サンキュー、仁。ユキを連れて、森の中へ行くんだ。早く」

 トイラは黒豹の姿になって、瞬時に襲い掛かった。

 ジークはひらりと後ろへ交わす。

 さらにトイラは顔をしかめ、牙をむき出して攻撃をどんどん仕掛けていった。

 トイラは数々のジークの行いに我慢の限界だ。もうジークを生かせておくつもりはなかった。

 その間に仁はユキを支えて外へ出て行った。