ドアノブがうまく壊れ、ドアが勢いよく開いた。

「トイラ!」

「ユキ!」

 何年も会っていないかのように、二人は再会を喜び合う。

「今助けてあげるからね、トイラ。何か鍵を壊すものないかしら」

 辺りを見回すユキ。その部屋の異様な光景が突然目に入ってぎょっとした。

「何なのここ?」

「ユキ、来てくれてありがとう。俺達もう少しで解剖されるとこだったよ」

 トイラは安心してへなへなと気が抜けていた。

 ユキはケージに手を突っ込んで、トイラの頬に触れた。

 トイラもユキの手を愛しく掴む。

 しばしの間、見つめあい、二人の世界だった。

「お楽しみは、ケージ出てからにしたら」

 キースは目のやり場に困っていた。

「しかし、なんて奴だ、あいつは。悪趣味だな」

 柴山は、携帯を取り出して辺りの様子を写し出した。

「ちょっと、柴山さん、写真撮ってる暇があったら、早くケージの鍵を壊すの手伝って。ハックシュン」

 仁のくしゃみが皆を現実に引き戻した。

 何か使えるものはないかとそれぞれ探し出した。

「キャー!」

 奥から突然良子の叫び声が轟いた。

「なんだ、今、良子の悲鳴が聞こえたぞ」

 恐ろしい剣幕で柴山はすっ飛んで行った。

「柴山さん!」

 仁が叫んでも、聞く耳持たずだった。

「もう、どうなってるんだよ。とにかく早くケージから二人を出さないと」

 仁は焦った。その焦りはユキの行動でさらに体を揺さぶられた。

 ユキが胸を押さえてうずくまりだしてしまった。

「ユキ!」

 トイラが叫ぶ。

 仁は嫌な予感を覚えて、自分が入ってきたドアを恐る恐る振り返えりぞっとする。

「ジーク!なんでこんなときに」

 仁の息が荒くなっていた。