ユキが仁の家に訪問している間、キースはマンションの外で待つことにした。

 仁が誘っても、キースは遠慮しておくの一点張りだった。

 よほど仁に同情している。仁はキースの気持ちに目を逸らしてしまった。

 キースを置き去りに、ユキを連れて自分の家に入っていく。

 仁の母親はユキをみるなり感嘆の声を上げて喜んだ。

 父親もそばで歓迎してくれ、ふたりからかわいいといわれて、まるで嫁にでも来たような扱いだった。

「ユキちゃん。ほんとよく似合うわ。なんてかわいいの」

「おばさん、本当にありがとうございます。私もとっても気にいりました。自分でもかわいいってちょっと気取ってしまうくらいです」

 ユキはちゃんと姿を見せようと、肩にかけていたショールを外した。

「あら、ユキちゃん、胸に変わった痣があるのね。それって英語でバースマークっていうのよね。生まれもっての神から与えられたものって言われて、親は我が子の印として喜ぶんだよね。そういえば、仁も昔お尻に青痣があったわ。今もあるのかしら」

「母さん、それはあったら困るよ。ん、もう、ユキ、僕の部屋においで。この人たちと居たら何を言われるか」

 仁はユキの手を引いて、自分の部屋に連れて行った。

 両親は顔を見合わせて苦笑いしていた。