3
勢いをつけて角を曲がって走って来た仁とキースがぶつかりそうに鉢合わせた。
「ジン、ドウシタ」
キースが近寄ろうとすれば、仁は怯えて後ずさりする。
「キース、君もトイラと同じ仲間なのか」
「ナンノ コト?」
そこへ、血相を変えたユキが同じように現れた。ハアハアと息が切れている。
「仁、待って」
ユキが声を掛けると仁は戸惑いを隠せない。
感情の赴くまま、苛立った気持ちをぶつけた。
「君はトイラが、あの姿だと知って、なんとも思わないのか。しかもあんなのにキスされて」
全部見られていた。
仁の失望した眼差しがユキを悲しませた。
「仁、聞いて。お願い、このことは誰にも言わないで。これには訳があるの」
「訳だと? 道理で僕はトイラの前にいると、くしゃみが出たわけだ。今になってやっとわかったよ。猫アレルギーだからね、僕は」
ふたりのやり取りを訊いていたキースが間に入った。
「仁はトイラの黒豹の姿を見てしまったのか。しかもトイラとユキのキスまで……なんてこった」
やれやれという顔をして肩を竦めた。
「キース、君、日本語が……」
仁はまた困惑する。
「見られたのなら、隠しても仕方がない。ついでにこれも見て」
投げやりにキースは狼の姿を披露する。
「これでわかっただろ」
狼の姿で喋るキースに仁は後ずさって怯んでいた。
勢いをつけて角を曲がって走って来た仁とキースがぶつかりそうに鉢合わせた。
「ジン、ドウシタ」
キースが近寄ろうとすれば、仁は怯えて後ずさりする。
「キース、君もトイラと同じ仲間なのか」
「ナンノ コト?」
そこへ、血相を変えたユキが同じように現れた。ハアハアと息が切れている。
「仁、待って」
ユキが声を掛けると仁は戸惑いを隠せない。
感情の赴くまま、苛立った気持ちをぶつけた。
「君はトイラが、あの姿だと知って、なんとも思わないのか。しかもあんなのにキスされて」
全部見られていた。
仁の失望した眼差しがユキを悲しませた。
「仁、聞いて。お願い、このことは誰にも言わないで。これには訳があるの」
「訳だと? 道理で僕はトイラの前にいると、くしゃみが出たわけだ。今になってやっとわかったよ。猫アレルギーだからね、僕は」
ふたりのやり取りを訊いていたキースが間に入った。
「仁はトイラの黒豹の姿を見てしまったのか。しかもトイラとユキのキスまで……なんてこった」
やれやれという顔をして肩を竦めた。
「キース、君、日本語が……」
仁はまた困惑する。
「見られたのなら、隠しても仕方がない。ついでにこれも見て」
投げやりにキースは狼の姿を披露する。
「これでわかっただろ」
狼の姿で喋るキースに仁は後ずさって怯んでいた。