確かに、成功率ほぼ100パーセントと言われている手術で、失敗することはまずない。だけど実際に視力を失うかもしれない立場にいる優馬にとって、その0.1パーセントというリスクは、あまりに大きすぎるのかもしれない。


 私は黙っていた。優馬も黙った。ふたりの間に落ちた重い沈黙を掻き消すようにして、一台のトラックがエンジン音を響かせながらすぐそばを走り過ぎていった。


「他の人には、青い色しか見えない俺って、ハンデを抱えているように感じるかもしれない。だけど俺はこれまでの人生、一度たりとも自分の見えてる世界がハンデだと思ったことはない。他の色が見えない分、青い色だけ、宝石みたいにきらきら輝いて見えるんだ。すごく綺麗だから、俺の目を通してこの世界を他のみんなにも見せてあげたいくらい」