「病院に……行ってたんだ……」
「親が一生懸命探し回ってくれたおかげで、この目をほぼ100パーセントの確率で治せる医者が見つかった。でも俺は手術を拒否してる」
「えっ、どうして……?」
優馬がぎりっと奥歯を噛むのがわかった。こちらを見下ろす瞳は、小刻みに揺れている。
「成功率ほぼ100パーセントって聞こえはいいけど、実際のところ、〝100パーセント〟じゃない。もし仮に手術の成功率が99.9パーセントだったとして、失敗する確率が0.1パーセントもあるってことだろ? 俺は0.1パーセントの確率で、何も見えなくなるんだ」
「何も……見えなく……」
「それでも父さんと母さんは、〝絶対〟に失敗しないから大丈夫だって言い張るんだ。このままじゃこの先の人生、絶対に苦労するから、手術を受けるだけ受けてみてくれって……」