優馬は私と違ってモテる。私と付き合っているとはいえ、他の女子たちからのアプローチが、この一年間、まったくなかったというわけではない。
私より顔も性格もいい女の子なんて、この世に山ほどいるし、優馬の大好きな『アオ』がつく名前だって、ちょっと探せばすぐ見つかる。
……そう。私には優馬しかいないけど、優馬は別に私じゃなくたっていいんだ。
自分の中に、言葉にならない感情がうずたかく積まれていった。高く、高く、積まれすぎて、ある日それはガシャン、と音を立てて一気に崩れ落ちた。
「優馬、私のこともう好きじゃないなら、はっきりそう言えばいいじゃん!」
「どっ、どうしたの、急に」
「他に好きな子ができたんでしょ!」
「そんなわけないじゃん。俺が好きなのはアオだけだよ」
「うそ!」
「うそなんかじゃないよ。本当にどうしたの?」
「だって優馬、今、私と一緒にいても全然楽しくなさそうじゃん。前より喋らなくなったし、いつも上の空で溜め息ばっかりだし、私に隠し事してるのバレバレだよ!」