以前にも弘海先輩に髪を結んでもらったことがある。今は胸にかかるくらいの髪も、あの時は肩のあたりの長さで、ポニーテールをしてくれた。
従姉妹の女の子が結ってくれと頼むので、できるようになったと教えてくれた。
どちらかといえば私は手先が不器用で、ポニーテールとかはいささか難易度が高かった。だから伸ばしっぱなし。髪を結ぶのも、体育の時とか、ご飯の時とか、勉強の時に邪魔にならなように簡単に結ぶだけ。
弘海先輩はゆるっと束を解いて、私の髪を手櫛で梳かす。
「櫛使いますか?」
「あ、使う。ありがとう。そしてさ、ちょっと、横向ける?」
「横?」
「うん、身体ごと」
言われるまま、パイプ椅子ごと左を向いた。
背後に立っていた弘海先輩は、私から櫛をもらって左側に髪を集めて肩に流すと、正面に立った。
「ポニーテール、じゃない」
「うん。三つ編みしたくて」
「できるんですか?」
「編み込みもできるよ」
弘海先輩は少し屈むと、毛束を手にとって三つ編みを始めた。
男の人にしては細い白い指。いつか綺麗な手ですね、と褒めたら、女の子みたいでコンプレックスなのだと言っていたけれど、この手を私は好きだな、と思う。
従姉妹の女の子が結ってくれと頼むので、できるようになったと教えてくれた。
どちらかといえば私は手先が不器用で、ポニーテールとかはいささか難易度が高かった。だから伸ばしっぱなし。髪を結ぶのも、体育の時とか、ご飯の時とか、勉強の時に邪魔にならなように簡単に結ぶだけ。
弘海先輩はゆるっと束を解いて、私の髪を手櫛で梳かす。
「櫛使いますか?」
「あ、使う。ありがとう。そしてさ、ちょっと、横向ける?」
「横?」
「うん、身体ごと」
言われるまま、パイプ椅子ごと左を向いた。
背後に立っていた弘海先輩は、私から櫛をもらって左側に髪を集めて肩に流すと、正面に立った。
「ポニーテール、じゃない」
「うん。三つ編みしたくて」
「できるんですか?」
「編み込みもできるよ」
弘海先輩は少し屈むと、毛束を手にとって三つ編みを始めた。
男の人にしては細い白い指。いつか綺麗な手ですね、と褒めたら、女の子みたいでコンプレックスなのだと言っていたけれど、この手を私は好きだな、と思う。