私が通う中高一貫校は県内でも有数の進学校として名高い。
比較的自由な校風で、校則もそこまで厳しくない。バイトの制限はあるものの、制服を着崩すのも、アクセサリーをつけるのも、授業中は禁止だが校内でのスマートフォンの使用も許可されてるし、多少であれば目を瞑られてる。
だからそれなりに中学一年から高校二年まではみんな羽目を外したりもするのだが、高校三年生にもなると急変する。


みんな一気に受験戦闘態勢モードに入るのだ。

まず、高校三年生の朝は早い。
七時半から一時間行われている早朝講座には約半分以上が出席する。
そうでない人も早朝に登校してきて、進路資料室や教室で朝の自習時間を持つ。
それ故に高校三年生のフロアである、C棟3階の廊下は他の学年とは比べものにならないほど静けさに満ちている。
お昼休みや休み時間などは息抜きの時間として賑やかにはなるけれど、基本的に隙間時間も惜しまず勉強、というスタンスなのでやっぱり他の階よりは静かだ。

それに夜は遅い。課外授業が七時まで組まれており、自習室は八時まで開放されている。
この学校は「塾がいらない進学校」「現役合格」を謳っているのでとにかく受験生に対する体制が整っている。それ故に予備校に通う人も一握りで、みんな学校から出される課題をこなして、受験に挑む。
要するに三年生は、勉強以外に余念がないくらい勉強漬けの日々を強いられるので、いつも神経は逆立っているのだ。
消しゴムが落ちただけで笑うなんて、嘘に決まってると思うくらい。