美紀との関係はそれっきり。
それ以降、必要以上に口を聞くことはなかったし、高校二年進級で文理別にクラスが離れたのを機に、完全に連絡を絶った。
美紀も私と袂を分かった理由を公言することもなかった。


何も友達は美紀だけではなかったので、美紀との仲違いが特別学校生活に支障をきたしたわけではない。
大方喧嘩でもしたのだろう、といいように考えてくれたクラスメイトは、時間薬を掲げて「そっとしておこう」と判断したのか、私と美紀の関係が冷えたものになった理由を聞いてくることもなかった。


いたって普通に時間は流れた。
でもそのうち私の方が耐えられなくなって、だんだん他人と距離を置いた。
誘いを断っているうちに、誰からも誘われなくなってしまった。


休み時間も、移動教室も、お昼休みも、ひとり。
今までは誰かしらが隣にいたのに、誰か人と一緒にいた時間よりも、圧倒的にひとりでいる時間の割合が多くなった。


それでも、普段の学校生活は困らなかった。
あからさまに無視されることも、グループ活動でハブにされることはなかったし、私は確かに「クラスメイト」としての居場所はそこにあった。


けれど、


——「お前は一人で生きていけるんだろう?」


そう、嘲笑う声が聞こえ来たような気がした。