「こむぎちゃん。予定表を作って来たから大丈夫よ。個人でやることには名前を書いてあるから、チェックしておいてね」

 菓子先輩が私の様子を見てくすくす笑いながら、きっちりと作られたタイムスケジュールを全員に配った。

「おお……前日からきっちり時間制で書かれていて分かりやすい。百瀬先輩って有能なんですね」

 柚木さんが感心したように菓子先輩を見つめている。

「まあ、くさっても部長ですから」

 菓子先輩は胸を張ったあと、

「な~んてね、毎年使っている予定表をちょこっと変えただけ。先輩たちが残していったそういうものがいろいろとあるのよ」

 いたずらっぽく種明かしをしてくれた。

 菓子先輩が指揮を取り、予定表も見ながら最後の準備を開始した。アフタヌーンティーの会場として使う調理室の飾り付けは終わっており、調理場とテーブル席はホワイトボードでうまく区切ってある。

 明日出すメニューは、スコーン、サンドイッチ、アップルパイ。スコーンはトランプの模様の型で抜いて、アップルパイにもアリス風に工夫がしてある。ハロウィン前だからパンプキンパイもありかなと思ったのだが、菓子先輩に却下されてしまった。

 サンドイッチの具はきゅうりとレタス、チーズとハム。BLTサンドとか、もっと華やかな具のほうがいいのではと提案したのだが、きゅうりサンドにはアフタヌーンティーの歴史がつまっているらしく、あえてスタンダードなものにした。