「小鳥遊さん、どうしたの。お茶入ったよ」

「あ、うん」

「元気なくない?」

 柚木さんはいろいろと鋭いので、私が不安に思っていることも全部伝わっていると思う。でも泣いたりすがったりして菓子先輩を困らせたくないから、せめて部活のときだけは元気でいなきゃ。

「そんなことないよ、大丈夫」

「ならいいけど」

 さびしい。不安。ひとつでも口にしたら張りつめていたもの全てが崩壊してしまいそうで、私はそれを誰にも打ち明けられない。友達にも、菓子先輩にも。
 たった半年たらず一緒にいただけなのに、今や菓子先輩は家族よりも近い存在になってしまっている。

 たった半年。菓子先輩にとっては、半年だけ一緒にいた後輩なんて特別でも何でもなくて、卒業したら私のことなんてすぐに忘れてしまうんだろう。

「さあ、お茶も入ったところで本題に行きましょうか。今年の文化祭の出展だけど、料理部らしく料理は提供したいのね。でも人数が四人だと限界があるしってことで、私なりに考えてみたことがあるの」

 菓子先輩の声で我に返った。何やら自信満々の顔をしているので、期待しつつ訊ねてみる。

「なんですか?」

「英国式アフタヌーンティーよ」

 どやっ、と効果音が出そうなくらいの得意げな笑みで菓子先輩が発表する。