「準備はできたみたいね。じゃあ、焼きましょうか。まずは甘いのから」

 菓子先輩は食パンを二枚メーカーにセットすると、薄切りにしたバナナと板チョコ、リンゴジャムにシナモンをかけたもの、をそれぞれ挟んだ。

「あとはコンセントを差し込んで数分待つだけ。ね、簡単でしょ?」

 焼きあがるのを待っている間にしょっぱいほうにも取り掛かる。今度は先に食パンにピザソースを塗っておいて、ハムとチーズをはさむ。

「包み焼きピッツア風のピザトーストよ。ボリュームが欲しいときは、ピーマンとかトマトとか、ピザの具を挟んでもおいしいの」

 ソースをかけたコロッケには、キャベツをたっぷり。これはもう、作る前から予想できるおいしさ。

 しゅーしゅーと隙間から湯気を漏らすメーカーを見ている間に、あっという間に四種類のホットサンドができてしまった。

 プレスされている線にそって半分に切る。ピタパンみたいな形になって食べやすそう。

「お母さまが味見する分に一種類ずつ残しておいて、あとは私たちで味見しちゃいましょ」

 はじっこがプレスして留められているので、具がこぼれなくて食べやすい。サンドイッチを食べるときに、中身をぽろぽろこぼしてしまう私にはありがたかった。

「ん、あったかいサンドイッチって不安だったけど、板チョコがとけてバナナに合う! こっちのリンゴジャムはアップルパイみたいな味がする! しょっぱいほうもおいしい……」

「たとえば夕飯の残りのポテトサラダやツナサラダも、挟めばおいしいホットサンドになるのよ。いろいろ試してみて」

「はい、ありがとうございます。これ、朝ごはんにもいいけれど、一度に作ってお弁当にもできるから便利だな」

 具がこぼれないし、焼いてあるからパンもふにゃふにゃにならないし、お弁当に持って行くにはぴったりだと思う。これで朝ごはんとお弁当の心配は一度に解消されたわけだけど。

「ねえ、柚木さん」

 私はふと思いついたことを言ってみた。