「母、挨拶したかったみたいだけど今動けないっぽい」
「お母さま大丈夫なの? あっ、ティーポットならそれかしら」
菓子先輩が柚木さんの後ろにすっと立って、棚の奥からティーポットを見つけ出してきた。
「あ、すみません。えっと……、カノコ先輩?」
「ご挨拶が遅れてごめんなさいね、私三年の百瀬菓子です。いつもこむぎちゃんがお世話になっています」
うやうやしくお辞儀する先輩は、部活の先輩というより、家庭訪問に来た先生に挨拶するときのお母さんのようだった。
「いや、特に何もお世話していないけど! 小鳥遊さんとこの先輩もちょっとずれてるよ!」
柚木さんは笑い上戸なのだろうか、今回もツボにはまったようで手をばんばん叩きながら笑っている。菓子先輩は動じず、にっこり微笑みながら紅茶の茶葉まで発見していた。
どうしたらいいのか分からず、椅子に座ったままゆらゆらしているだけの私。どこに何があるのか自分の家なのに分からない柚木さん。菓子先輩は、この二人は役にたたないと早々に判断したようで、ほぼ一人でお茶の準備を進めていく。
「なんかすみません、お茶まで先輩に用意してもらっちゃって」
柚木さんも長いものには巻かれる、もとい、お母さん属性の先輩にはおとなしく従うタイプだったようで、手伝うのは諦めて私の隣に座ってきた。
「いえいえ。茶葉で紅茶を淹れるのって、意外と面倒ですもんねえ」
「そうそう、うちもふだんティーバッグしか使わなくて、ポットとか茶葉はしまいこんであるだけなんだよね。母がよく飲むのはインスタントコーヒーだし」
「私もそうかな~。菓子先輩に紅茶の淹れ方教わってからは自分でも淹れるようになったけど、朝とかは面倒でほとんどティーバッグ」
「百瀬先輩のとこは、なんか高価そうなティーポットで毎朝紅茶飲んでいそうだよね」
「私もそう思う……」
「あ、そうそう。お茶菓子が今おせんべいしかないみたいで。いくらなんでも、せんべいは紅茶に合わないよね~」
ポットにお湯を入れ終わった菓子先輩が、カップと共にお盆に載せて持ってくる。
「お母さま大丈夫なの? あっ、ティーポットならそれかしら」
菓子先輩が柚木さんの後ろにすっと立って、棚の奥からティーポットを見つけ出してきた。
「あ、すみません。えっと……、カノコ先輩?」
「ご挨拶が遅れてごめんなさいね、私三年の百瀬菓子です。いつもこむぎちゃんがお世話になっています」
うやうやしくお辞儀する先輩は、部活の先輩というより、家庭訪問に来た先生に挨拶するときのお母さんのようだった。
「いや、特に何もお世話していないけど! 小鳥遊さんとこの先輩もちょっとずれてるよ!」
柚木さんは笑い上戸なのだろうか、今回もツボにはまったようで手をばんばん叩きながら笑っている。菓子先輩は動じず、にっこり微笑みながら紅茶の茶葉まで発見していた。
どうしたらいいのか分からず、椅子に座ったままゆらゆらしているだけの私。どこに何があるのか自分の家なのに分からない柚木さん。菓子先輩は、この二人は役にたたないと早々に判断したようで、ほぼ一人でお茶の準備を進めていく。
「なんかすみません、お茶まで先輩に用意してもらっちゃって」
柚木さんも長いものには巻かれる、もとい、お母さん属性の先輩にはおとなしく従うタイプだったようで、手伝うのは諦めて私の隣に座ってきた。
「いえいえ。茶葉で紅茶を淹れるのって、意外と面倒ですもんねえ」
「そうそう、うちもふだんティーバッグしか使わなくて、ポットとか茶葉はしまいこんであるだけなんだよね。母がよく飲むのはインスタントコーヒーだし」
「私もそうかな~。菓子先輩に紅茶の淹れ方教わってからは自分でも淹れるようになったけど、朝とかは面倒でほとんどティーバッグ」
「百瀬先輩のとこは、なんか高価そうなティーポットで毎朝紅茶飲んでいそうだよね」
「私もそう思う……」
「あ、そうそう。お茶菓子が今おせんべいしかないみたいで。いくらなんでも、せんべいは紅茶に合わないよね~」
ポットにお湯を入れ終わった菓子先輩が、カップと共にお盆に載せて持ってくる。