結局、身支度にいつもの倍以上時間がかかって、遅刻ギリギリで学校に着いた。ちらりとみくりちゃんの席を見ると、ほっとした顔でこちらを見ていた。今までは早めに登校していたから、私が休むと思って心配していたのかもしれない。
柚木さんはまだ来ていなかった。朝のあいさつができなくて、少し寂しく思っている自分がいた。早く話したいと思ったり、でもやっぱり会うのが怖いと思ったり、会えないなら会えないでがっかりしたり、自分の気持ちが勝手すぎて嫌になる。
チャイムが鳴って一時限目の授業が始まる。遅刻なのかと思ったけれど、柚木さんの席は放課後までぽっかり空いたままだった。
「こむぎちゃん、今日は元気ないわね。ちょっと休憩しましょうか」
放課後の部活の時間。今日は来週の献立を決めるミーティングの日だ。終始ぼんやりしている私を見かねて、菓子先輩が部誌に走らせていたシャーペンを置いた。
「ごめんなさい……」
「ううん、いいのよ。体調が悪いわけではないの?」
「私は大丈夫なんですけど、今日休んでいるクラスメイトがいて……。えっと、昨日初めて話した子なんですけど」
昨日の出来事をかいつまんで菓子先輩に話す。菓子先輩は「まぁ」「こむぎちゃん、すごいじゃない」といちいちリアクションを取ってくれたので、少し照れくさかった。
「昨日は元気だったんです。夜のメールでも何も言ってなかったし。急に風邪でもひいたのかなぁ……」
「心配なら、メールしてみればいいじゃない」
「でも、具合が悪くてお休みしているんだったら、迷惑じゃないですか?」
「そういう時は、心配している気持ちだけ伝えて、返事は体調が良くなってからで大丈夫です、って付け加えればいいのよ。私だったら、風邪で寝込んでいるときにこむぎちゃんからメールもらえたら嬉しいけどなぁ」
「なるほど……」
メールひとつとってもコミュニケーションスキルが必要なんだなぁ。今までメールする機会があまりなかったから気にも留めなかったけれど、これからは文章にもいろいろ気を遣わなくちゃ。
菓子先輩からのアドバイスを参考に短めのメールを送った。ひとつのミッションをクリアしたような、やり切った気分でお茶を飲んでいたら、ポケットの中の携帯電話がぶるぶると震えた。
柚木さんはまだ来ていなかった。朝のあいさつができなくて、少し寂しく思っている自分がいた。早く話したいと思ったり、でもやっぱり会うのが怖いと思ったり、会えないなら会えないでがっかりしたり、自分の気持ちが勝手すぎて嫌になる。
チャイムが鳴って一時限目の授業が始まる。遅刻なのかと思ったけれど、柚木さんの席は放課後までぽっかり空いたままだった。
「こむぎちゃん、今日は元気ないわね。ちょっと休憩しましょうか」
放課後の部活の時間。今日は来週の献立を決めるミーティングの日だ。終始ぼんやりしている私を見かねて、菓子先輩が部誌に走らせていたシャーペンを置いた。
「ごめんなさい……」
「ううん、いいのよ。体調が悪いわけではないの?」
「私は大丈夫なんですけど、今日休んでいるクラスメイトがいて……。えっと、昨日初めて話した子なんですけど」
昨日の出来事をかいつまんで菓子先輩に話す。菓子先輩は「まぁ」「こむぎちゃん、すごいじゃない」といちいちリアクションを取ってくれたので、少し照れくさかった。
「昨日は元気だったんです。夜のメールでも何も言ってなかったし。急に風邪でもひいたのかなぁ……」
「心配なら、メールしてみればいいじゃない」
「でも、具合が悪くてお休みしているんだったら、迷惑じゃないですか?」
「そういう時は、心配している気持ちだけ伝えて、返事は体調が良くなってからで大丈夫です、って付け加えればいいのよ。私だったら、風邪で寝込んでいるときにこむぎちゃんからメールもらえたら嬉しいけどなぁ」
「なるほど……」
メールひとつとってもコミュニケーションスキルが必要なんだなぁ。今までメールする機会があまりなかったから気にも留めなかったけれど、これからは文章にもいろいろ気を遣わなくちゃ。
菓子先輩からのアドバイスを参考に短めのメールを送った。ひとつのミッションをクリアしたような、やり切った気分でお茶を飲んでいたら、ポケットの中の携帯電話がぶるぶると震えた。