* * *
その日の夜、夢を見た。アフォガードの海に溺れる夢。
泳いでも泳いでも、エスプレッソが口の中に入って苦くて、やっと陸に着いたと思ったらそれはアイスクリームで、手をかけた端から溶けて崩れていってしまうのだ。
溺れかけていると、なぜか巨大化した菓子先輩がずーんと現れ、
「こむぎちゃん、こんなに小さくなっちゃって! 今助けてあげるわね」
とティースプーンを差し伸べてくれた。
どうやら海だと思っていたのはコーヒーカップの中で、私は小さくなってしまったらしい。
ティースプーンにしがみつこうとしたら、
「先輩、そんな嘘つき助けてあげることないですよ」
と大きな柚木さんが現れた。
「そうだそうだ」
「そのまま溺れてしまえばいいんだ」
気付くと、みくりちゃんやクラスの友達もコーヒーカップのまわりを取り囲んでいた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。迷惑かけて、気を遣わせて、嘘もついてごめんなさい」
小さくなった私の声はみんなには届かない。
私はそのまま、熱くて冷たいアフォガードの海に、ごぼごぼと沈んでいった――。
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その日の夜、夢を見た。アフォガードの海に溺れる夢。
泳いでも泳いでも、エスプレッソが口の中に入って苦くて、やっと陸に着いたと思ったらそれはアイスクリームで、手をかけた端から溶けて崩れていってしまうのだ。
溺れかけていると、なぜか巨大化した菓子先輩がずーんと現れ、
「こむぎちゃん、こんなに小さくなっちゃって! 今助けてあげるわね」
とティースプーンを差し伸べてくれた。
どうやら海だと思っていたのはコーヒーカップの中で、私は小さくなってしまったらしい。
ティースプーンにしがみつこうとしたら、
「先輩、そんな嘘つき助けてあげることないですよ」
と大きな柚木さんが現れた。
「そうだそうだ」
「そのまま溺れてしまえばいいんだ」
気付くと、みくりちゃんやクラスの友達もコーヒーカップのまわりを取り囲んでいた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。迷惑かけて、気を遣わせて、嘘もついてごめんなさい」
小さくなった私の声はみんなには届かない。
私はそのまま、熱くて冷たいアフォガードの海に、ごぼごぼと沈んでいった――。
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