「あれ……? ハンバーガー二つ? 百瀬先輩は食べないんですか」

 疑問に思ったみくりちゃんが菓子先輩に尋ねて、私はなぜだかどきっとしてしまった。

「ええ、私はあまりたくさんは食べられなくて……。小さいサイズのものを別に作ったから、家族にあげようと思うの」

 そう言って、ランチボックスに入れたふつうサイズのアボカドバーガーを見せてくれた。

「それなら、いいんですけど……」

「あ、ええっとぉ……! これって、どうやって食べるのかな?」

 まだ何か言いたそうなみくりちゃんに、無理やり話を振る。

「え、普通に食べるんじゃないの?」

「それだと崩れちゃわない?」

「有名なお店のホームページによると、ナイフとフォークで食べてもいいし、少しつぶして手で食べてもいいそうよ」

 菓子先輩は先にいろいろと情報収集してくれていたらしい。

「……私は、手で食べてみます」

「みくりちゃんがそうするなら、私も」

 二人ともが難易度の高い食べ方をすることになってしまった。私には、どこからかじればいいのかも見当がつかないが、大丈夫なのだろうか。

「じゃあ、席についていただきましょうか」

 菓子先輩がアイスティーをみんなに注いでくれた。

「ふふ、昨日のうちに水出しアイスティーを仕込んでおいたの」

 アールグレイの柑橘の香りが気をゆるめてくれる。菓子先輩は本当に抜け目がない。

「では。本日の料理部のメニューは、スペシャルアボカドバーガーよ。みなさんどうぞめしあがれ」

「いただきます」