デートは放課後の公園かテスト前の図書館、という初々しいお付き合いをしてきた二人が、初デートでファストフード店に行くことになった。部活を引退したので休日に出かけることになったらしい。
みくりちゃんは大好物だというテリヤキチキンのセットを、彼はダブルバーガーのセットを頼んだ。
実はハンバーガーはお上品に食べるのは難しい。大口をあけてかぶりついたほうがスムーズに食べられるのだ。
みくりちゃんは、彼氏を目の前にして緊張していたのだろう。女の子らしく見せたいという気持ちもあったのかもしれない。小鳥のように、ちびちびと控えめに食べていたらしい。
しかしそのせいで悲劇が起こってしまった。時間をかけたせいで袋の内側にたまってしまったテリヤキソースが、スカートに垂れてしまったのだ。
あわてるみくりちゃん。気付けば手もソースでべたべただった。そんな彼女を見て、彼氏は思いもよらない一言を投げつける。
「……おまえ、食べ方汚いな」
と――。
その言葉は、彼氏に少しでもかわいいところを見せたい、といじらしい気持ちでいたみくりちゃんの心を、さぞかし抉ったことだろう。私の胸も痛い。その男の顔面をテリヤキソースまみれにしてやりたい気持ちでいっぱいだ。
その後。よそよそしくなった二人はほどなく別れたそうだ。もともと彼氏と同じ共学の高校を志望していたみくりちゃんは、悔しさをバネに志望校のランクをあげ、見事桃園高校に合格を果たした。
「まあ、おかげでこの学校にも入れたし、悪いことばかりじゃなかったかな」
過去のつらい思い出もさらっとした口調で話してくれたみくりちゃんは、さっぱりとした顔で微笑んでいる。
その出来事がなければ、私がみくりちゃんと出会うこともなかった。そこだけは元彼氏に感謝してあげてもいいけれど、やっぱり許せない。
みくりちゃんは大好物だというテリヤキチキンのセットを、彼はダブルバーガーのセットを頼んだ。
実はハンバーガーはお上品に食べるのは難しい。大口をあけてかぶりついたほうがスムーズに食べられるのだ。
みくりちゃんは、彼氏を目の前にして緊張していたのだろう。女の子らしく見せたいという気持ちもあったのかもしれない。小鳥のように、ちびちびと控えめに食べていたらしい。
しかしそのせいで悲劇が起こってしまった。時間をかけたせいで袋の内側にたまってしまったテリヤキソースが、スカートに垂れてしまったのだ。
あわてるみくりちゃん。気付けば手もソースでべたべただった。そんな彼女を見て、彼氏は思いもよらない一言を投げつける。
「……おまえ、食べ方汚いな」
と――。
その言葉は、彼氏に少しでもかわいいところを見せたい、といじらしい気持ちでいたみくりちゃんの心を、さぞかし抉ったことだろう。私の胸も痛い。その男の顔面をテリヤキソースまみれにしてやりたい気持ちでいっぱいだ。
その後。よそよそしくなった二人はほどなく別れたそうだ。もともと彼氏と同じ共学の高校を志望していたみくりちゃんは、悔しさをバネに志望校のランクをあげ、見事桃園高校に合格を果たした。
「まあ、おかげでこの学校にも入れたし、悪いことばかりじゃなかったかな」
過去のつらい思い出もさらっとした口調で話してくれたみくりちゃんは、さっぱりとした顔で微笑んでいる。
その出来事がなければ、私がみくりちゃんと出会うこともなかった。そこだけは元彼氏に感謝してあげてもいいけれど、やっぱり許せない。



