「いいえっ」

 菓子先輩はがばっと起き上がり、振り乱した髪のままキーマカレーと向き合った。
 獲物でも狩るような爛々とした目をしている。こわい。

「私、食べるわ」

 菓子先輩はナンを大きくひきちぎり、キーマカレーをこんもりと載せた。

「そ、それはいくらなんでも多すぎるんじゃ」

「いただきます」

 菓子先輩は大きな口をあけて、一口でほおばってしまった。私とおばあちゃんは呆然として顔を見合わせる。

「か、菓子ちゃん、だいじょうぶかい?」

「菓子先輩、お、お水」

 涙目のまま、もっしゃもっしゃと咀嚼している菓子先輩は異様な迫力があった。
 見守るしかない私とおばあちゃんの前で、菓子先輩はごくん――とキーマカレーを飲みこんだ。

「ど、どうでしたか……?」

「菓子ちゃん、おいしかったかい?」

 菓子先輩は目を伏せたまま黙り込んでおり、そう簡単にはいかないか――と思ったときだった。

 菓子先輩の肩がぴくりと動いた。

「か、菓子先輩? どうしましたか……?」

 菓子先輩の目が困惑に震えて、私とおばあちゃんを交互に見回している。