「お、おばあちゃん、大丈夫ですか!?」

 のどに詰まってしまったと思って焦ったのだが、おばあちゃんはゆっくり飲みこんだあと、目を赤くしていた。

「これは、これは、娘の味だねえ……。甘さも、まろやかさも、おんなじだよ……」

 かしゃん。

 プレートにスプーンが落ちる音がする。
 菓子先輩がスプーンを落とした姿勢のまま、驚いた顔でおばあちゃんを見ていた。

「あ、ご、ごめんなさい。びっくりしてしまって……。私も、いただかないと……」

 菓子先輩がごはんとキーマカレーをスプーンによそって、口に運ぼうとする。でも、直前で手が震えてしまってうまくいかない。

「あ、あら? どうしてかしら……。なんだかすごく、こわくなっちゃって。もし、これでダメだったらと思うと、わたし」

 菓子先輩の全身が、小刻みに震えていた。

「ごめんなさい、せっかくこむぎちゃんが作ってくれたのに、何してるのかしら。ダメね……」

「……いいんです、ダメでもっ」

「こむぎちゃん?」

 気が付くと私は菓子先輩の細い肩に、腕に、しがみついていた。