キーマカレーとナンを盛り付けて、二人分のプレートを居間に運ぶ。どうせならおばあちゃんにも食べて欲しかった。

 居間では、菓子先輩とおばあちゃんが神妙に正座して待っていた。

「あ、あの……、そんなにかしこまらなくても」

「ああ、うん……。なんだか緊張してしまって」

「ばあちゃんもなんだか、ドキドキしてしまってねえ」

 二人にも私の緊張とドキドキが移ってしまったのだろうか。プレートを置くときに手が震えてしまった。

「あとこれは、仏壇に」

 おばあちゃんに借りた仏様用の食器。菓子先輩のお母さんにも食べて欲しくて、見守っていて欲しくて、仏壇にもキーマカレーを供えた。

「仏様にカレーって、おかしかったでしょうか」

「いいんじゃないかしら。お母さんもおじいちゃんも、喜んでると思うわ。それにインドだったらカレーをお供えするのも普通のことなんじゃないかしら、きっと」

 インドの仏様事情は私には分からないが、日本の仏様も今日は大目に見てくれるはず。たぶん。

「じゃあ、いただきます」

「ばあちゃんもいただくねえ」

 まずはおばあちゃんがキーマカレーをナンにつけてひとくち。

「ん……!?」

 口に入れた瞬間固まってしまって動かないので、あわててコップに入れた水を差しだした。