「ねえ、そんなに私たちって頼りないのかな」

「それとも、あたしたちには言えないようなことだったり?」

 二人が少し不安そうな顔で、固まっている私を覗きこむ。

「それは……」

 確かに、菓子先輩の事情が重すぎて、二人に言っていいのか迷っていた部分はある。でも、根本はちがう。
 今まで、友達に迷惑をかけないこと、自分でできることは自分で何とかするのが友情だと思っていた。バレー部と兼部しているみくりちゃんや、家のことで忙しい柚木さんの手を借りるのは、最後の最後だと勝手に決めていた。

 でも、違うんだ。どんなちいさなことでも、大事な友達が悩んでいたら話して欲しい。一緒に悩むことより知らないでいることのほうがずっとつらい。

 自分はどんなことでも二人の力になりたいと思っていたのに、二人も同じ気持ちだなんて、考えたこともなかった。

 私が思っていることは、あなたもきっと思っている。それを教えてくれたのは、いつも二人だったね。

「そんなことない。二人とも、ありがとう。事情を詳しくは言えないんだけど、菓子先輩のためにやってみたいことがあるの。手伝ってもらえるかな」

「当たり前でしょ」

「言うのが遅いよ」

 みくりちゃんには頭をわしゃわしゃ撫でられ、柚木さんにはデコピンされた。

 菓子先輩。あなたがくれたものがここにあるよ。菓子先輩のおいしいものの力でこんなにもしあわせ者になった私がここにいるよ。菓子先輩にこの光景を見せたいよ。