予想通り、朝早くにおばあちゃんが起こしに来て、私は制服に着替えて朝食の席についた。
 菓子先輩は、ニットにロングスカートという清楚な部屋着。
 まだ寝ていたほうがいいのではと勧めたのだが、何日も受験勉強を休んでしまうとさすがに心配だから、と言われた。

「あれ、菓子先輩のお父さんは? まだ帰ってきていないんですか?」

 帰りが遅い、と言っていたお父さんは居間にいなかった。朝食も三人分しか用意されていない。

「深夜に帰ってきて、今はぐっすり寝ていると思う。今日はお休みだから昼まで寝かせてあげなくちゃ」

 そうなのか、と納得して朝食に舌つづみを打つ。
 ごはんとお味噌汁、焼き鮭、お浸し、卵焼きというザ・日本の朝ごはんメニュー。
 いつも朝はパンだから、こうしてゆっくり和食を食べるのはなんだか贅沢な気分。

「こむぎさんも、今日は土曜日だから学校は休みでしょう。夕方までゆっくりしていきなさいねえ」

 おばあちゃんは朝からひと仕事してきたようだ。いったい何時に起きているのだろう。

「ありがとうございます。でも、菓子先輩の勉強を邪魔しちゃうかも」

「何言ってるの。こむぎちゃんも一緒に勉強するのよ。来月には学年末試験があるでしょう?」

「ええ……。まだまだ先じゃないですか」

 勉強がしたくないから、というわけではないが、私には他にやってみたいことがあった。