「お願い、みんな。私の話を信じて。修学旅行に行かないで」
クラスメイトたちは戸惑うようにお互いの顔を見合わせた。静まり返っていた教室が、ふたたびざわめき始める。
「凛々子の言ってることどう思う?」
「いやぁ、さすがにタイムリープはないでしょ。昨日見た悪い夢と現実が混同してるんじゃないの?」
「でも事故の状況とか、その後のことか、すごくリアルじゃなかった?」
「じゃあ予知夢とか?」
半信半疑の声が飛び交う中で、
「昨日の俺が信じたように、今日の俺もリリを信じるよ」
唯人はきっぱり言った。言ってから、私の肩に手をかけ、自分の方に向き直らせた。こちらを見下ろす瞳がわずかに潤んでいる。