まぶたの向こうで、すうっと光が薄れていくのを感じ、静かに目を開けた。するとそこには、十二年前の3年1組が広がっていた。みんながあたりまえのようにそこにいる。


「戻ってこれた……」


胸に熱いものが込み上げ、じわりと視界が潤んだ。足元から震えが駆け上ってくる。


取り乱しちゃダメ。


とにかく落ち着いて。


私は鼻から息を吸い、ゆっくりと吐き出しながら、自分の手に視線を落とした。


腕に抱えていたはずの新聞とアルバムがない。一緒に教室に入ったはずの松下先生の姿もない。


どういうこと? 


私だけタイムリープしたの?


壁掛け時計を見上げると、針は12時を少し過ぎたところを指していた。視線をそのまま時間割黒板の方に動かす。




【10月18日 水曜日】




やっぱり一日経ってる。修学旅行は25日だから、ちょうど一週間後の今日。



“そのとき”が、刻々と迫っている……