「今日は先生も凛々子さんと一緒にいていいかしら?」

「えっ?」

「昨日『3年1組のみんなに会った』って言ってたでしょ? そのことがずっと気になってて」


先生の言葉に、はっと息を呑んだ。


松下先生もあの教室に入って、私と一緒にタイムリープできれば、間違いなく大きな力になる。


そう思ったら、うなずかないわけにはいかなかった。


「はい。先生がよろしければ、ぜひ一緒に来てください」

「ありがとう。それじゃあ、行きましょうか」






私と先生は玄関を出てからほとんど言葉を交わさずに歩き、3年1組の前までやってきた。


スマホで時刻を確認すると、11時22分だった。私はバッグの中から新聞のコピーとアルバムを取り出した。


「それは?」

「私が未来から来たことを証明するためのものです。これをうまく過去に持っていければいいんですけど」

「…………」


先生はそれに対して何も言わなかった。私も言葉を付け足さなかった。


ぎこちない沈黙がふたりの間を流れる中、私はゆっくりと前に向き直った。右腕に新聞とアルバムを抱え、反対の手で先生の手首を握った。心臓がどくどくと音を立てている。