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ちりちり、と鳴った風鈴の音で、目を覚ました。閉め切ったカーテンの向こう側で、白い光が弾けている。


結局あのあと、ベッドに横たわって考え事をしていたら、そのまま眠ってしまっていた。


今、何時だろう……


ベッドサイドテーブルに置いてあるスマホを確認する。


7時50分。よっぽど疲れていたのか、一度も目を覚まさずに十二時間以上眠っていた。


私は上体を起こし、しょぼしょぼする目をこすった。


寝ながら泣いていたのか、目の縁がかさかさしていて、まばたきをすると、まぶたが引っ張られるような感じがする。


お父さんとお母さんは、もう仕事に出かけたのかな。


耳を澄ませてみた。窓の外で時折鳴っている風鈴の音と蝉の鳴き声以外、何も聞こえない。


私は部屋から出て、台所に向かった。


麦茶を飲もうとして冷蔵庫を開けると、『凛々子の分。チンして食べてね』というメモの貼られたお惣菜のパックが二つ入っていた。野菜の煮物と揚げ出し豆腐だった。