「凛々子、大丈夫?」


沙恵ちゃんは私の背中に手を添え、そっと身体を寄せてきた。甘い香水の匂いが漂ってくる。


沙恵ちゃんの彼氏の和也くんも、「大丈夫か?」と言って、心配そうに私の顔を覗き込んできた。


クラスの人たちは全員私に良くしてくれたけど、唯人を含め、この四人はその中でも特に親しくしてくれた。


「えっ、なになに?」

「どうしたの?」


他のみんなも、泣きじゃくる私の周りに集まり出した。


「うぅっ……」


ダメだ。胸が詰まってうまく喋れない。


「大丈夫。大丈夫だから」


唯人の大きな両腕が私をくるみこんだ。


体温を感じる。匂いがする。


そして——


ドクッ……ドクッ……


心臓が鼓動を打つ音が、はっきりと聞こえる。それらは唯人が確かに生きているという証だった。


胸の中に、色々な感情が一気にどっと流れ込んできた。


「うわあああんっ」


言葉の喋れない赤ちゃんのように、ただひたすら泣き続ける私の背中を、唯人はずっとさすってくれていた。


他のみんなも私から離れようとはせず、ずっとそばにいてくれた。