白石凛々子は十二年前、当時中学三年生だったクラスメイトを全員大事故で亡くした。

 事故が起こったのは、修学旅行の日。当日、凛々子は突然高熱を出したため、修学旅行に参加できず、自分だけ事故に巻き込まれずに生き残った。

 恋人も友達も全員失い、十二年経っても傷が癒されないままの凛々子。

 そんな凛々子の元へ、梢田中学の教師(松下明美)から電話がかかってくる。電話の内容は、『九日後に旧校舎が取り壊されることになったから、最後に校舎を見に来たいか』というものだった。

 凛々子が3年1組の教室に入ると、タイムリープが起こり、日付が修学旅行の九日前に巻き戻った。

 タイムリープ先にいられるのは、昼休みの一時間だけ。現実世界の日付が一日経つと、タイムリープ先の日付も同じように一日進む。

 凛々子はみんなが修学旅行に行くのを阻止しようとするが、翌日になるとクラスメイトたちの記憶はリセットされてしまい、誰も前日の出来事を覚えていない。

 過去は変えられないのだと悟った凛々子は、過去を受け入れようとし始める。そこへ、松下明美の息子(信広)が現れる。

 信広も心に深い傷を負っており、お互いに心の傷を共有しているうちに、惹かれ合っていく。

 結局過去は変わらないまま、旧校舎取り壊しの日を迎える。ふたりは最後に3年1組の教室へと足を運ぶ。

 そこで凛々子は信広に「これからの未来を、俺と手を繋いで一緒に歩いてくれませんか」と言われる。

 凛々子は決断する。失ったものばかりに目を向けるのではなく、今、目の前にあるものに全身全霊をかけて向き合い、大切にしようと。

 凛々子が信広の手を取った瞬間、ずっと止まっていた教室の時計が、ふたたび動き出した。