熱いものが、身体の芯から突き上げてきた。
「うああああん!」
自分のものとは思えないような金切り声が、喉からほとばしり出た。
私は体当たりするように唯人に抱きつき、わんわんと声を張り上げて泣いた。
唯人の胸に顔を押し当てると、彼の着ているワイシャツから爽やかな柔軟剤の香りがした。その奥にかすかな体臭が感じられる。胸を締め付ける匂いだった。
「うぅ……うううぅぅ……」
言いたいことはまだまだたくさんあるのに、何か言おうとしても、嗚咽が邪魔をして言葉にならない。
「凛々子ちゃん、どうしたの?」
クラス委員長の智ちゃんが、こちらに駆け寄ってきた。薄いフレームのメガネに三つ編みという、絵に描いたような優等生だ。
そのあとを追いかけるようにして、沙恵ちゃんも走ってきた。智ちゃんとは対照的に、派手な髪型とメイクをしている。