……言えた。


これでようやく、みんなとちゃんとお別れができた。


みんなと出会えたことは、この先一生の宝物だよ。


バイバイ……


バイバイ、みんな……




深い静寂の底に沈んでいき、やがて私に向かって何か言っているみんなの声も、鳴り渡っているチャイムの音も、何も聞こえなくなった。


その音も感覚もない真っ白な世界の中で、みんなが私を包み込むように抱き締めているのが見えた。







・゜・☆。・゜。・。・゜・


しんとした耳の奥で、蝉の声が寄せては返す波のように遠くなったり近くなったりしながら響いてくる。無感覚だった肌に、誰かの手のぬくもりを感じる。


目を開けると、すぐそこに信広さんの顔があった。私の腕を支えている。


私は教室の中に視線を転じた。


みんなの姿はなく、いつものように空っぽの机が整列しているだけだった。