「リリ」


唯人は私の両手を取り、そっと自分の方へ引き寄せた。


「俺、リリの太陽になってみせるから。どんなに遠くからだって、ずっとリリのこと照らし続けるから」


その言葉に対して、智ちゃんが「クサッ」と言った。


「何が“リリの太陽”よ。今の台詞、どこのB級ドラマから盗んできたの? クサすぎて鳥肌立ったんだけど」


智ちゃんの一言に、それまで張り詰めていた空気がふっと緩み、みんなの笑い声が一斉に弾けた。私も笑った。その笑い声に重なるようにして、チャイムが鳴り始めた。


頭上からまばゆい光が降り注ぎ、視界が白く染まっていく。


「お迎えが来たみたい。そろそろ行かなくちゃ」


私は両手を胸の前でぐっと組み合わせ、涙で濡れた頬にとびっきりの笑顔を浮かべた。




「さようなら、みんな」