そう。これが現実。
わかっていた。
わかっていたはずのに……
これで本当に最後なのだと思うと、ひしひしと迫ってくるような寂しさに襲われ、胸が詰まった。
「凛々子ちゃーん」
声がした方に、はっと顔を向けた。智ちゃんの周りに、クラス全員が集まっている。
みんな手に修学旅行のしおりを持っていて、明日のことを楽しそうに話している。
「リリもこっちおいでーっ!」
唯人は右手を高く上げ、私に向かって手招きをした。その薬指には、私とペアルックの指輪が光っている。
歩き出そうとしたが、足がうまく動かなかった。私はその場に突っ立ったまま、込み上げてきそうになる涙を一生懸命抑えていた。
みんなはすぐそこにいる。手を伸ばせば触れられる。声を発すれば届く。
けれどこのほんの数メートルが、みんなと自分の間にある途方もない距離のように感じられた。