ずっと、ずっと、会いたかった恋人が、あの頃のままの姿で、今、私の目の前にいる。手を伸ばせば触れられる距離にいる。


誰もいないはずの教室に、賑やかな話し声と笑い声が満ち溢れている。


私はおずおずと辺りを見渡した。


信じられないことに、十二年前に事故で死んだ3年1組の生徒たちが、あたりまえのようにそこにいた。みんな制服に身を包んでいて、笑いながらお喋りしている。


智(とも)ちゃんがいる。


沙恵ちゃんも、


和也くんも、


みんな、


みんな……いる。


唯人は目をぱちぱちさせながら私を見下ろした。


「マジでどうしたの? 大丈夫? もしかして熱でもある?」


唯人はすっと手を伸ばし、私の額に触れた。少し湿った大きくて柔らかい手のひら。そこには確かなぬくもりがあった。


何がどうなってるの? 


なんで事故で死んだみんなが生き返ってるの? 


ここは、どこ……?